現代文学
宮部みゆき:火車
文庫本裏表紙より引用
休職中の刑事、本間俊介は遠縁の男性に頼まれて彼の婚約者、関根彰子の行方を捜すことになった。自らの意思で失踪、しかも徹底的に足取りを消して--なぜ彰子はそこまでして自分の存在を消さねばならなかったのか?いったい彼女は何者なのか?謎を解く鍵は、カード会社の犠牲ともいうべき自己破産者の凄惨な人生に隠されていた。山本周五郎賞に輝いたミステリー史に残る傑作。
火車【あらすじ】
この小説はミステリー小説なので、あらすじは書きません。
火車【読書感想文】
この本が書かれたのが1992年。2010年に読み返してみましたが、内容的には少し古くなっている感がありました。
公的に身分証明が可能なものを他人になりすまして取得することは、今ならたぶん無理でしょう。
公的ではない銀行口座の架空口座すら許されないのに。
そうゆう、社会的な古さを考慮し差し引いても、この小説はとてもおもしろいです。
主要登場人物の関根彰子が男の目を引きがちな美人として描かれているのが、少し設定に無理がある気はしました。もっと地味な感じの目立たない娘にした方が、クレジットカードの悲惨さが伝わるようなと思いました。
クレジットカードは、昔も今も悲惨な事件が後を絶ちません。
クレジットカードについて作者は登場人物の一人に、こういわせます。
「多重債務者たちを、ひとまとめにして『人間的に欠陥があるからそうなるのだ』と断罪するのは易しいことです。だがそれは、自動車事故に遭ったドライバーを、前後の事情も何も一切斟酌せずに、『おまえたちの腕が悪いからそうなるのだ。そうゆう人間は免許なんかとらないほうがよかったんだ』と切って捨てるのと同じことだ。『それが証拠に、ほら、事故を起こしていない人間だっているじゃないか』とね。そうゆう人間を見習え、とね」
この意見は同感です。
そもそも日本人は、自らに隙があったので犯罪被害に遭うのだという考え方が多いと思います。
曰く、ちゃらちゃらした格好をしていたからレイプされたのだ。
曰く、現金を手に持っていたからひったくられたのだ。
曰く、迂闊に電話を信じたから現金を振り込んでしまうのだ。
確かに自己責任の部分も有るけれども、絶対悪いのは犯罪をする人です。犯罪が出来る仕組みです。
誰かの意見に流させることなく、被害者のみが一方的に悪いという先入観を持たずに、自分の頭で考えるようにしてみませんか?
最後に、トリックの種明かしがされていないのが少し残念でした。どうして関根彰子だったんだろう?どうやって関根彰子をxxしたんだろう?
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