新潮文庫の100冊:2009

夏目漱石:こころ

2010年2月18日 13:35 | コメント(0) | トラックバック(0)

文庫本の裏表紙より

CIMG1618.jpg 親友を裏切って恋人を得たが、親友が自殺したために罪悪感に苦しみ、自らも死を選ぶ孤独な明治の知識人の内面を描いた作品。鎌倉の海岸で出会った"先生"という主人公の不思議な魅力にとりつかれた学生の眼から間接的に主人公が描かれる前半と、後半の主人公の告白体との対象が効果的で、"我慢"の主題を抑制された透明な文体で展開した後期三部作の終局をなす秀作である。

こころ【あらすじ】

「こころ」は3部構成になっています。

  1. 「先生と私」
  2. 「私と両親」
  3. 「先生と遺書」

という構成です。

「先生と私」は、主人公である私が先生と出合った頃の話です。

私が学生の頃、鎌倉の海岸で先生と初めて出会います。

私は、先生に対して説明の出来ない興味を持ち、東京へ帰ってから先生の家をたずねます。

東京での先生は、美しい奥さんと二人暮らしでした。

仕事もせず、人付き合いもほとんどせず、何もしていないように見えました。

毎月決まった日に近くの墓地に墓参りに行きます。しかし、だれの墓かも教えてくれません。

ある日、私は先生が留守のときに訪ねてしまいました。

相手をしてくれた奥さんから「先生が書生の頃はこんなにやる気が無いわけではなかった」という話を聞きます。

奥さんと先生が結婚した後に、人付き合いせず、何事にもやる気が無くなってしまったそうです。

ただ、その理由は奥さんには分からず、先生のその変化が自分のせいではないかと悩んでいます。

良く理由を聞いてみると、その頃仲の良かった友人が亡くなったことが思いつくといいました。

私は先生に過去を問いますが、先生は「時期が来たら残らず話す」というだけでした。

「私と両親」は、私が大学を卒業した後の話が主です。

私は大学を卒業した後に、一度帰郷しました。

帰郷する私に先生は「父親に財産があるのなら、父親が元気なうちに財産の分け方をきちんと決めさせておくべきだ。」と言いました。また、万一の場合に一番面倒の起きるのは財産の件だとも。

帰郷後、もともと病床の父は、明治天皇崩御の知らせを聞き病状を悪化させてしまいました。

父は、危篤となり、親戚が呼ばれることになりましたが、そんな中、先生から分厚い手紙が私のところに届きました。

手紙の中には、自殺を連想させる一文があり、父をほっといて先生のもとへ急ぐことにしました。

私は東京へ向かう汽車の中で先生の手紙を読みました。

ここから「先生と遺書」になります。

内容は先生の手紙となり、「私」は先生の事となります。

手紙の内容は遺書で、先生の過去が書かれていました。

大学生の頃、私は両親を亡くし、信頼していた親族に裏切られ、両親由来の財産をほぼ無くしてしまいました。

その事件のせいで人間不信になってしまいました。

又、自分の都合で人を裏切る親族のような人間を軽蔑していました。

その後、私は東京で下宿を探していた時に、たまたま通りがかったところで下宿先を見つけました。

下宿先は軍人の未亡人の家で、お嬢さんが一人いました。

人間不信の殻に閉じこもっていた私は、下宿先の家族のおおらかさに包まれ、次第に外に心を開けるようになって行きました。

また、同時に私はお嬢さんに恋心を抱くようになっていきました。

その後、私と同様に心を閉ざしていた同郷の親友のKを同じ下宿に住まわせることにしました。

私と同様に、Kのこころも次第に開いていきますが、同時にお嬢さんと仲良くなってしまいました。

お嬢さんに恋心を抱く私は、Kとお嬢さんが仲良くすることを快く思いませんでしたが、お嬢さんやKに恋心を打ち明けられないでいました。

そんな気持ちの中、Kからお嬢さんに対する恋心を打ち明けられてしまいました。

私は、気持ちを優先させ、Kの恋心をあきらめさせようとします。

Kが悩んでいる隙に、私は、未亡人を見方にしてお嬢さんと婚約をしてしまいます。

婚約を知ったKは自殺をしてしまいました。

私宛の遺書が残されていましたが、そこには恨み言一つ書かれていませんでした。

その後、私が軽蔑していた、自分の都合で他人を裏切った私の親族と同じ事をKに対してしてしまったことに気付き、後悔し続けて生きていきました。

そのことは、お嬢さん(妻)に打ち明けられないままでした。

その後私は、明治天皇崩御の知らせを聞き、自殺を決意しました。

手紙の最後は「私が死んだあとでも、妻が生きている以上は、あなたに限り打ち明けられた私の秘密として、凡てを腹の中にしまって置いて下さい」と結ばれていました。

こころ【読書感想文】

こころは名作と呼ばれているだけあって、あらすじだけを読んでも読書感想文は書けません。

感想文を書くためには、全文をしっかりと読む必要があるでしょう。

文庫本は厚いですけれども、文章は平易で、比較的分かりやすい物語なので、一気に読めてしまうと思います。

題名の『こころ』の通り、登場人物の気持ちを考えながら読むと感想文が書きやすいでしょう。

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